記.2022
うつ(病)ってなんなんでしょうね…
僕自身15年前初めてその症状を体験し、
その後病院で「うつ病」と診断されました。
そしてその症状に苦しみ、治ったり再び出たりすること、
うつ状態にも度合いがあること、
症状に色々なバリエーションがあること等
ひと言では言い表せない
この“うつ”というもの…
この正体は一体なんなのか?
僕の15年にわたる“うつ”についての経験でわかってきたこと、
得た知識からあくまでも個人的に思うことをつづっていきたいと思います。
◯精神科医療について自分なりに解ったこと
◯“薬を飲む”ということ
◯“うつ病”の正体って…??
◯医療とつながることで拓ける未来
足掛けで15年近く
精神医療を見てきています。
実際の僕の体験、
当時書物やネットを通じて得た知識、
外来での通院と二度の入院経験…
その間に6人のドクター(精神科医)に診察を受けました。
今もし(私生活にも影響が出るくらいの)うつ症状に見舞われたら、
選択肢としてはやはり病院というのが一般的ではないでしょうか。
そして町のクリニック(開業医)または大きな病院を受診することになります。
僕の場合は、
と思っていたので、鼻っから選択肢にすら入らず、一連の体調不良は
「何か運勢でも悪いのか!?」と占い師や霊媒師のところに行ったんですが……
笑い話みたいですが僕のように占い師の所に行かないまでも、うつ病になっているとされる人の3/4が受診していないというデータもあるんです。
そうして
精神科医に診てもらうことになります。
その後ほとんどの場合、
薬による治療が始まります。
遅ればせながら僕も結局病院に行くことになり、抗うつ薬による治療が始まりました。
そういった流れを経験してきて、医者についてある程度分かってきた事があります。
それは
・「薬を多く出すドクター」
・「できるだけ少なく出すドクター」
がいると言うことなんです。
考え方の違いなんでしょうが、僕の体験や患者仲間から聞いた話でも、
同じ人や症状でもドクターによって違う薬(量)を処方するなんてことはよくあります。
僕の場合、診断名まで変わりました。
また薬を飲み続ける期間もドクターによって違うこともあります。
僕の経験でも、以前のドクターは
「あなたのような人は一生
飲み続けないといけない」
と言われたんですが、次に変わった別の病院のドクターは
“僕の薬を飲まずに生活していきたい” という
意向をくんでくれて、適切な時期を話し合いの中で決めました。
定期的に通院は継続していますが、
今は抗うつ薬は飲まずに生活しています。
【断薬を推奨している訳ではありません。人それぞれですから】
もちろん、
その人その人の病状や状況によって、生活していく上で薬がずっと必要なケースもあると思います。
また、ある程度の量が必要なケースもあると思います。
ですから極端に
“薬は少なく短期間”が
誰にも当てはまるという訳では
ないとは思いますが…
そして僕自身大切だと思うことがあります。
それは
「“ある程度”ドクターに
信頼感を感じられているか」 なんです。
今のドクターも初診時から感じは悪くはありませんでした。
しかし僕の症状が安定してくるまでは途中で
「冷たい人だな」
とか
「診察行きたくないな」
と思ったこともありました。
でも安定した今では精神科医として信頼しています。
精神科医の治療の要はやっぱり薬です。
ただ、それを決めるのにも患者とのやり取りがあって
「じゃあこれでいきましょう」とコミュニケーションがあります。
その時にこちら側は(無意識的にも)色々と感じている訳です。
「この先生安心できるなぁ」とか
「この先生なんかしんどいな」とか
「なんかわからんけど引っ掛かるな」など…
こちらは敏感になってますから
よくわかるんです。
だからこのフィーリングはとても大事にしたほうがいいと思います。
「薬さえ合っていればいい」というだけでは無いような気がします〈詳しくは後述してます〉
精神医療、特にうつ病に関しては近年NHKの番組なんかでも度々、薬の過剰投与が問題になっています。
ですから主治医に治療方針等について疑問を投げかけた時など、嫌な感じを毎回受けるようなら、そのドクターとの縁を考えた方が良いかも知れません。
何でもすぐに変えるのも問題ですが、これだけ沢山、心療内科、精神科があって選べる時代でもあるのですから、我慢し過ぎもどうかなと考えています。
抗うつ薬、抗不安薬、向精神薬、睡眠薬と精神科では色々な薬があります。
そして現在の精神科医療というのは、
「モノアミン仮説」
というものを中心において治療が行われています。
(モノアミン仮説だけでは説明のつかない事もあり、他の説も出てきてはいますが)
この「モノアミン仮説」
というのは簡単に言えば、、
うつ病になる原因は⇒
①脳内の神経伝達物質
(意欲、やる気、安心感、幸福感等を感じる
ためのホルモンみたいなもの)のバランスが
崩れている状態が起きている→→
②だから薬を使ってそれらのホルモンの
バランス異常を正常にしよう→→
③そうすれば再び精神状態が安定し元気を
回復していくだろう
というものらしいです。
そのために薬が使われているんですが、
人によってうつ病の機序も違うためか、抗うつ薬も一つではなく、たくさんの種類があります。
歴史的には、
できるだけ副作用の少ないものをと研究開発していく中で種類も増えていったようです。
しかし必ずしも「最新のものが一番効く」というものでもないようで、
人によっては昔のものが効いたりするため、
今でも沢山の種類の中から選択されている
ようです。
そしてモノアミン仮説は
現在でもうつ病のメカニズム・原因は実は、
はっきりとわかってはいないんです。
(驚きですね)
また、
うつ病についてはなんの治療もしなくても
1年後には約40%の人が寛解、20%の人が改善というデータもあります。
他のデータでは、
うつ病の人達に抗うつ薬と
プラセボ(本物の薬と見た目ソックリだが有効成分は含まれない。偽薬とも言う)
をそれぞれ服薬してもらうグループ(患者はどちらかは知らない)に分けて、双方の治療経過を調べたそうです。
結果は抗うつ薬のほうが少し成績は良かった
そうですが、
大きな違いとは言えなかったんだそうです。
こういったことからも考えられるように
「うつ病が治っていく」というのは
薬単体の効果が全てではないように感じています。
薬以外の他の部分でも治癒効果はかなりの部分働いているようで、自分の経験上でもそれは実感として
ものすごくあります。
だから他の要素、、例えば…
・ドクターへの信頼度、安心感
・環境が変わる(休職・療養するなど)
・人のサポートを得る
(信頼できる相談員、
セラピストとの出会い等)
・その他
などが非常に大きいと僕自身の経験からも強く感じています。
以前は薬を好ましく思っていなかったですし、今でも抵抗感はあります。
また薬が合わず副作用で苦しんだ経験もあり、
ネット上の精神薬にまつわるネガティブな情報を過剰に信じて、頑なに拒絶していた時期もありました…
ただそういった経験があってさえも、
精神状態が本当に危ない時…
「恐怖や不安で押し潰され感情の制御が全く不
能な状態」
や、
「消えたい」「死にたい」
しか考えられなくなっている時には、
“緊急避難をする意味”では、
「経験的に薬がまず一番」と今では考えています。
異常なまでに精神薬を恐れ拒んでいました。
精神がおかしくなって苦しみ、もがいてすらも
「このまま耐えれば時期に治る」
と飲みませんでした。
でもこの世が地獄になるだけでした…
そんな失敗を何度も経験して、今では薬に対する認識は少し変わってきています。
「適切な医師に適切な処方さえしてもらえれば、薬はうつ病に対して、
楽に生活する大きな助けとなってくれるし、
依存もせず飲まなくても生活できるようになる日だって来るんだ」と…
(この項は科学的データに加え一部、僕の仮説が入っています。その箇所は参考程度に読んで下さい)
僕はうつに何度となく苦しめられるうち、
「うつ病とはいったい何なのか?」
「その正体、原因そして治す方法は?」
と考えるようになり、その事への
探究心が強くなっていったんです。。
そして医学的な本は言うに及ばず、心理学、
東洋医学、うつ病の体験記や
はたまた哲学、自己啓発系、スピリチュアル、瞑想、仏教にまで
その答えを求めたんです。
自分の理解度が足りないのか、
それでも「これが答えだ」と
確信を持てるまでには至っていませんが…
でも今の僕なりにおぼろげながら
「こうではないのか」という考えは出来上がってきました。
それを少し書かせてもらいます。
(参考程度に読んでください)
【結論から言わせてもらうと、
うつ病に対して
「絶対的な方法」 を探すよりも、
以下のような
「うつ病に関する情報」を受け入れ
それを意識して、
「生き方を変化」させる事で
僕は楽に生きられるようになったようです】
医学的な見地から調べると
上に書いたモノアミン仮説中心の本が多かったのですが、それ以外で特筆すべきは
という事が一部研究でわかってきている事です。
「脳の構造が変化している!?そんなんどうしようもないやん」
と思われるかも知れませんが、
これが希望の持てる話なんでもう少し聞いて下さい。
ちょっと難しい話になりますが、うつ病の人は
・脳の“海馬”という「記憶や感情の制御」を
行っている部分の働きが下がり⤵
・“扁桃体”という「不安や恐怖」を感じる部分
の働きが上がっている⤴
というのがわかってきています。
これは簡単に言うと、世の中に対して
“安心して落ち着く”というのが困難で、かつ過剰に恐怖や不安を感じてしまう状態と言えます。
正にうつ病の特徴にも当てはまります。
(以下このような状態を「うつ脳」と書きます)
このうつ脳状態になると、
“ネガティブ思考” でしか物事を考えられなくなり
感情的にも不安、恐怖、怒りなどに支配され、
「何も上手くいく気がしない」
「何をやるにも不安」
「楽しい感覚の消失」「罪悪感」
そしてそれすらも感じなくなって無気力状態となり
「消えたい」「死にたい」
に発展したりします。
その場の自分の意志の力だけで変えることなど到底できません。
だからよく
「うつ病の時は重大な決断はしないように」
と言われています。
そして、うつ病経験者とその時の思考パターンについて話し合うと
「なんで?!」
と思うほど、本当に皆よく似ているんです。
やはりうつ脳状態特有の思考パターンになっているからなんでしょう。
(僕がうつ病は心の病というより脳の病といったほうがわかり易いと言ったのはこういった事からなんです)
しかし、それに対して、朗報があります。
聞いた事があるかも知れませんが、今世界的に実践されている
「マインドフルネス」
という瞑想法があります。
このマインドフルネスは、瞑想法として実践しやすく、心の安定にも非常に効果的ということで、ハーバード大学など世界中の大学で研究が進んでいます。
その研究でわかってきたのは、、
○マインドフルネスを8週間続けたら、
海馬の大きさが5%も大きくなり(一つの技能
を身に着けるほどの変化)、逆に扁桃体は5%
小さくなった。
というものです。
これは上に書いた“うつ病の脳の状態”と全く逆の作用です。
(しかもこちらでは機能だけでなく、大きさまで変化しているのですから根本的な改善と言えます)
更にうれしい結果として、
○マインドフルネスを3日やっただけで
脳の前頭葉という部分(落ち着き合理的な考
えを導き出す所)の働きが活性化した。
○遺伝子レベルではたった一日
マインドフルネスを実践しただけで、
慢性炎症(色々な病気に関係)を起こす
遺伝子に変化が起きた。
などだそうです。
うつ病が改善するというのは
「脳の機能・構造も改善している」と言えると思います。
(脳は再び変化するんです!)
でもここで
「じゃあそのマインドフルネスってのやらんと無理なんやろ、自分に関係ないわ」
と思われるかも知れません。
(ここではマインドフルネス瞑想の詳しい説明は割愛します)
もちろんマインドフルネスを実践するに越したことはないんですが、
ここで僕が言いたいのはそう言うことではなくて、
ということなんです。
そして、うつが改善していった人達が今まで沢山いるわけですから
「イコール(=)うつ脳も改善している」ということができると考えています。
大半の人達は…
・薬物治療
・心理療法(カウンセリング等)
・生活を変化させた(休職、静かな環境など)
・人との繫がりの回復や広がり
・人生の見つめ直し
などによって改めて
「今生きている自分」
に立ち帰り意識する機会、時間を得たこと(前項でも書いた)が重要な気がしてます。
そしてまさにこの
『今生きている自分を意識し
そこに気づくこと』
こそマインドフルネス瞑想にも通ずることなんです。
特別なことではなく、森の中を(五感を感じながら)散歩することでも
マインドフルネスと同じ効果があるという研究データも報告されています。
そして昔の人達の生活にはマインドフルネスが日常に沢山ありました。
体を使ってやる作業も多いことから、現代人ほど四六時中、目の前の事以外の色々な事で頭を支配されず、五感を使って“今”に意識を置いて働いていたようです。
昔から茶道や華道といった道のつくものは
「自分の感覚を“今”に意識を置いて
所作を行う」
まさにマインドフルネスと言えます。
とにかく現代人の頭は忙しすぎるようです。
(心此処にあらず)
このような状態から薬の助けも借りつつ、
マインドフルネス的な時間も増えていった
結果、うつ病が改善(うつ脳も回復)していったのではないかと考えています。
ストレスが関係しているというのは医学的にもわかってきてはいますが、
“ストレスフルな人全員”がうつ病になるわけではない事もわかっています。
これはどういうことなのか?
僕なりに心理学的に5つに分解してみました。
①元々の性格
②心の中にある葛藤
③強すぎる内的規範「〜ねばならない」
④罪悪感、喪失感などの強い感情
⑤生きている時代背景
(補足:これら心理学的要因に加え栄養学的な視点も近年かなり注目されていますが、僕自身がそっち方面の知識・経験共に疎い為、書きませんでした)
そういった要因がストレス反応と呼応して
“人生”という「経験」の中で錯綜、輻輳して車のバッテリー上がりみたいな状態になってしまい、「うつ病という現象」が現れる、というふうに理解しています。
書き出すとどんどん長くなってしまいそうなんで、要約して各項目を説明してみます。
①性格…については古典的な心理学の世界では、
“うつ病になりやすい性格傾向”というのがわかっています。
これをメランコリー親和型と言い例えば、几帳面で完全主義、責任感が強く、人に対しても細やかな配慮ができる…
いわゆる真面目、親切な人、いい人なんですが無理してしまうところもある…等です。
生まれ持った気質みたいなものです。
(※近年では新しい型のうつ病もあり、こういった性格に当てはまらない人もいます)
②葛藤…は人の心の中には相反する2つの思いが絡み合って
引っ張り合っているとでも言えばいいのでしょうか、、
例えば
「やりたいけど、やれない」
「やりたくないが、やらなければならない」
「こう思うが、ああするべきだ」
といった形で現れます。
自己欺瞞(じこぎまん)、いわゆる「自分に嘘をつく」状態になったりもします。
更にこの相反する想いは、その一方は無意識にあり、自覚出来ていない事も多いようです。
③「内的規範」は自分の心に染み付いている思い込み、観念みたいなものです。
これは幼少の頃からの経験の中で無意識に身についたものなので、人に指摘されたり、自分を見つめ直すような機会がないと、なかなか自覚できません。
誰にでもあるものなんですが、それが極端だったりすると、
「歪んだ自己ルール」 となってしまいます。
日本の精神医療で比較的用いられる
認知行動療法などは主にここにフォーカスし修整していきます。
④は特に“うつ”と「関連が深い感情」で、人生の経験の中でこれらの感情を強く感じ、それにはまり込んでしまうと“うつ病”に繋がりやすいといわれています。
〔トラウマ(心の傷)と言われる形になる場合も〕
例えば、喪失感なら大切な人を失う、社会的な地位を失う、将来への希望を失う 等
実に多岐に渡る物事からやってきます。
⑤「時代背景」については心の病というのは実は個人の問題だけではなく、その人の生きている時代の社会規範(社会一般に信じられている価値観)が影響しているという話なんです。
例えば身分制度がしっかりと存在していた時代(江戸時代など)は
人々の生き方が“生まれ”によってほぼ固定されていました。
その生き方だけが「自己価値を承認」してもらえる唯一の道で、選択の自由もあまり無く、
「君の可能性は無限大だ!」みたいなスローガンもないわけです。
自分の生き方に迷いも少なく、葛藤が生じる余地もあまり無かった。
しかし、現代では生き方の選択肢が増大し自由になった反面、
「こういう生き方をすればいい」という一つの大きな社会規範も弱くなり多様化しています。
何に合わせていけば「自分は承認」されるのか(無意識に)いつも不安を抱えている人も少なくありません。
関連して心の葛藤も生じやすく対人不安、抑うつ感を抱える人達も増える。といったふうに、現代はうつ病を生み出しやすい世の中と言えます。
【社会心理学でも何につけ選択肢が多くなると、比例してアンハッピーになると言われています】
うつ病やひきこもりで苦しんだ僕の経験に対して、
上記のような既存の学問の視点だけではどうしても埋まらない“スキマ”があったからです。
スピリチュアルの視点は僕のそのスキマをかなり埋めてくれました。
(この分野は受け入れ難いという人もいると思うので、信じる必要はありません)
※この項は小文字で書いてますので読み飛ばして下さって結構です
スピリチュアルとは非常に多岐にわたるので一言で言うのは難しいのですが、
“宗教などの垣根を超えた霊的な真理の教え”、
“この世の生きとし生けるものが存在する意味”とでも言えばいいのでしょうか。
仏教などと違って、はっきりした教義が有るわけではないので
自由度が非常に高い反面、リミッターもないため「変な教えに引っかかる危うさ」もあるのですが、
しっかりしたスピリチュアルリーダー(教えを発信する人)からの情報は、生きる上で大きな力になります。
書店ではスピリチュアル専用のコーナーも当たり前にありますし、もうブームというより1つのジャンルとして日本でも定着しています。
スピリチュアル関連のなかでも、うつ病について詳しく書かれた本は多くはなかったのですが、言及しているものはあります。
そこには、
うつ病は「愛の電池の枯渇」と表現されたり、
自分の中の「喜びやワクワクする気持ちを抑え込んでばかりいる」のが原因
と言った教えがありました。
愛については“他者からの愛”と“自分自身への愛”の二通りを意味していると思っています。
確かに自分を愛せないというのは、例えば「自分の本当の喜び」は置いといて、
「親からの期待」や「世間の価値観・風潮」を知らぬ間に優先している生き方に繋がっていく可能性もあります。
また、
そのことで心理学で言う葛藤を生じる事もあると思います。
そして僕を最も大きく揺さぶった情報は
「人の人生のシナリオは決まっている」ということなんです。
(運命はあるということです)これはとんでもない話です。
ここに書くか書かないか迷いに迷ったんですが、最終的にこれを受け入れたことで、生きることが少し楽になったのは純然たる経験なんで、やはり書くことにしました。
「未来は自分で切り拓く、未来は白紙」
といった現代社会の価値観とは逆行する考えです。
運命については色々な人が研究しているんですが、
その人によって次のように解釈の違いはあります、
「生まれる前にその大きな流れは決めてくるが、
変えることもできる」や
「9割り方決まっているが細かい所は変えられる」
「100%全て決まっている」
といったものです。
“人生は自分の力で切り拓く”の権化のようだった自分には
この考えを受け入れるのに時間はかかりました。
でも最終的には
「どうやら人生にはシナリオがあるようだ」
ということを受け入れるに至りました。
これは人生とは操り人形のように
「ただ操られるだけでそこに全く自由意志などない」
といった理解ではありません。
ちょっと具体的な例で説明します。
スピリチュアルの世界で近年流行った「引き寄せの法則」とうのがあります。
それは自分が欲した物を現実に引き寄せる願望達成の方法
のように認識されている事も多いようです。
しかしこれに対して、
「本当の引き寄せの法則とは、エゴでお金や物を引き寄せるという技術ではありません。
自分のところに来たものは全て自分に必要があって引き寄せたと知ることなんです」
と、そのご著書で教えてくれた方がいます。
僕が“人生シナリオはある”というのを受け入れる過程で、感銘を受けた
翻訳家でスピリチュアルリーダーの(※)山川紘矢さんという方です。
また山川さんはこうも仰っています
「運命は100%決まっていて100%自由です」 と。
これは自分にとってとても影響を受けたメッセージでした。
そこから解った事とは、
『人生に起きる事(良いと思われる事、悪いと思われる事も)
自分の学びとして必要だから起きる。
そして、それすらも生まれる前に決めてきた事(シナリオ)であり
今までの人生においても間違いなんてものも一つも無い。
だから「シナリオはあるが、監督、脚本、演者も全て自分なのだから、それは自由と同じことなんだ」ということでした。』
自分の境遇を嘆き、神がいるのなら
「こんな人生になんでした?俺がそれほど悪いことやったのか!」
と投げ飛ばしてやりたいとさえ思っていました。
“こんな人生”になる選択をしてきた自分を責め、後悔し続けました。
その後スピリチュアルを学んであとでさえも
「こんな人生を計画した自分をアホや」と、自分で自分の首を絞めたいと思ったりもしていました。
苦しみの真っ只中にいる時に、人生にシナリオがあるということを知っていても、その苦しみがウソのように消えて無くなるというわけではありませんでした。
しかし少なくとも、それを知って受け入れることで、
過剰に罪悪感に襲われにくくなったり、また諦めの境地のような状態になって、
「このうつ病やひきこもりの体験も人生シナリオとして、
学びのために決めてきた事」
とほんの少しは生きるのが楽になったんです。
【でも正直、十億円あげるから、またうつ病のどん底
を経験してと言われてもまっぴら御免ですが…】
そして元気を取り戻しつつある現在では、
「シナリオ通りやから、全ては学び。何をやっても間違いはないのだから、これからの人生は思い切ってやってみよう」
と以前より自由になった気がしています。
※山川さんは昔、旧大蔵省の超エリートであり、スピリチュアルの世界とは全く縁遠い方だったんです。
その山川さんの人生が激変し、スピリチュアルの世界へと導かれて行く過程が書かれている
「輪廻転生を信じると人生が変わる」 はスピリチュアルとは何?と思われている方にはオススメの本です。
うつ病になってしまったら、薬による治療が一般的です。
しかし将来的にはそういったものに加えて
心理療法(カウンセリング、
認知行動療法、深層心理学的療法など)
が今よりももっと当たり前に受けられる国になればと思っています。
(イギリスなどではカウンセリングは保険で無料でも受けられるようです)
更にもっと進んで、その他の心の病に有効な身体的なセラピー、ヒーリングなんかももっと一般的になってくれば本当に嬉しいです。
そして、そういった医療等と、“アフターケアも視野にいれた社会福祉サービス”が当たり前に連携する社会になればと思っているんです。
そしてそうなることで、うつ病の治療のイメージも変わって、
自分の生き方・人生を見つめ直す
“大切な機会” にさえなる…
そういう価値すら持つようになるんではないかと考えています。
僕はうつ病ひきこもりでありながら頑なに医療を拒んでいました。
それは今まで書いてきたように日本の精神医療が信じられなかったからですが…
【僕ほど拒絶する人間も珍しいんではないでしょうか】
そんな僕が医療とつながってわかったことは…
医療につながるということは単に「うつ病の治療以上の可能性」に繋がっていくんではないか?ということです。
具体的に言うと、
“色々な社会福祉サービスへとつながりやすくなる”
という事なんです。
それは単にうつ病が寛解する以上の可能性です。
どういうことかというと、今までうつ病というのは
医者orセラピストとの関係
で主に治していくものとばかり思っていました。
確かにこれだけでもしっかり回復される人達もいるでしょう。
でも僕を含めそれだけでは
するのは難しい人達も大勢いるんです。
高名な心理学者で沢山の心の問題を抱えた人達と向き合ってきた
故・河合隼雄先生はその著書の中で
「心理療法で病から回復して日常を平穏に送れるようになった人がいます。
それと“働くことができる”というのはまた別な話ということもあります」
といった内容の事を述べられていたんです。
“これは正に僕のことだと思います”
今まで色々な療法を受けてきました。
その中で自分の中の“心のねじれ”がある程度解消される事もありました。
ただそこから先の人生は、まだ霧がかかったようで見えず、
「迷って動けなかったり、迷ってるうちにまた自分の中で“ねじれ”が現れる」
といった負の連鎖に陥ったこともありました。
「自分の心の中の整理〈人格内部の統合〉」
だけではなく、それにプラスして、
「どう世の中とつながって行くか〈社会的な統合〉を見出して行くということ」
が僕に足りなかった最後のピースだと気がつきました。
〈人格内部の統合〉+〈社会的な統合〉
Ⅱ
『うつを我が物とし豊かに生きる』
僕は今、社会福祉サービスを使わせてもらって色々な人達に出会い、
刺激を受けて、助けてもらい人生を生き直している最中です。
それも医療と繋がれた事で無料で福祉サービスを使えるようになったからです。
僕にとって医療につながるのは単に“薬で治療していく”というのは全体の一部であって、
「より豊かに生きていく機会」とつながるとても大きな意味に今ではなっています。
(2022年 現在)
・うつ病に関してはできるだけ科学・医学的なデータを引用して述べていますが、総合的には僕の持論です。